柚子モドキ
「これから、あなたの目はあなたの体を離れ、この不思議な時間の中に入って行くのです」
「ある朝目が覚めると,柚子の木から緑色の髭が・・・」
「お~い。柚子から髭が出てるよ!!」
「エ~。まさか?ンな訳ないよ」
「ギョエ~。柚子じゃないってことだね」
「そうよね」
「でも,植えた時に種が混じる事は絶対ないはずなんだ。
植えたのは今年の1月11日で。
その日は柚子しか植えてないいし」
「・・・・・」
「芽が出た時さ。俺,きゅうりと間違えたよね確か。
今年は芽が出るのやけに早いなって言ってサ」
「そうだったわね。じゃ・・・キュウリって事?」
「いや。ありえないヨ。キュウリの種は毎年使い切ってるし。
今年購入したのが2月の22日。
植付は3月7日で外で行い,さらに今年は発芽率を出すのに員数確認して行ってる。
12粒入りに13粒入っていたのを確認してるしサ」
「ムムムム,何と面妖な」
「じゃ,何の芽なのかしらね」
「葉っぱの感じから,やっぱりキュウリか,かぼちゃのような気がするけど。
いやキュウリだろうな。
かぼちゃはこんなに素直に伸びないし,葉の感じが違う。
今年は,かぼちゃの種は保管してないし,柚子とかぼちゃの種ぐらい区別つくもんな」
「どこで混入したのかしらね~」
「考えられるのは,苗床に購入した土に交じってたって事ぐらいしか考えられないんだよな~」
「でも間違いなくこれは柚子ではない!それは確かだ」
「じゃどうするの」
「柚子モドキって事で育てて見ようじゃないか。どんな花が咲いてどんな実が生るか・・・ネ」
妙な楽しみが増えました。